高血圧は日本人の死因の上位を占める脳卒中や心臓病など、重大な病気の発症を引き起こす危険性を高めるだけでなく、要介護の大きな原因にもなります。高血圧は普段の生活から予防できます。ぜひ、生活習慣を見直して、一緒に取り組みましょう。

 

すべての人に必要な高血圧対策

 日本には現在、高血圧の人が約4,300万人いるとされ、そのうち高血圧を自ら認識していない人は約1,400万人と推計されています。高血圧は“サイレントキラー(静かな殺し屋)”とも呼ばれ、自覚症状がない一方で放っておくと命に関わる病気を引き起こします。高血圧の人は、重大な病気の発症を未然に防ぐため、生活習慣の改善や場合によっては薬による治療が必要です。また、高血圧ではない人も、普段から規則正しい生活を心がけ、高血圧にならないよう気をつけることが大切です。

 

血圧が“高め”の人も要注意

 血圧は、上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)で示されます。「上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上」の場合、高血圧と診断されます。

 また、血圧分類では、血圧の値によって「正常血圧」から最も危険度が高い「Ⅲ度高血圧」にまで細かく分類されています。2019年4月高血圧の管理と治療の指針となる「高血圧治療ガイドライン」が改訂され、高血圧と診断されていないものの、血圧が”高め”の「正常高値血圧」「高値血圧」の人に対しても注意を呼びかけ、生活習慣を改善して「正常血圧」に近づけることを促しています。

 「正常高値血圧」や「高値血圧」の人では、「正常血圧」の人と比べて脳卒中や心臓病を発症する危険性が高く、また、将来「高血圧」になってしまう可能性が高いことが明らかになってきています。

 

血圧分類

血圧分類

 

高血圧予防のために実践できる5か条

減塩しよう

 日本人の食塩摂取量は多く、高血圧の大きな要因の1つです。加工食品を控える、いつもの食品を減塩食品に置き換えるなど、普段の食生活を見直しましょう。

 

肥満を解消しよう

 肥満の人は体重を3%減らすだけで血圧を下げることができます。肥満度を示す指標であるBMI〔 計算式:体重kg/(身長m)2 〕が、25未満になるよう気をつけましょう。

 

身体活動を増やそう

 有酸素運動を行うことで血圧を下げることができます。できれば毎日30分、少し速めに歩く、軽くジョギングするなど定期的に体を動かすようにしましょう。

 

お酒はほどほどに

 お酒の飲みすぎは、血圧上昇に影響します。お酒を飲む場合には、男性では、日本酒なら1合まで、ビールなら中ビン1本まで、ウィスキーならダブル1杯までとし、女性はその半分に節酒することが勧められます。

 

睡眠を十分とる

 睡眠不足は、交感神経の働きを活発化させ、血圧上昇につながります。日中の疲れがとれるよう、睡眠をしっかりとりましょう。また、ストレスがあると血圧上昇にもつながることがわかっています。リラックスした時間を意識して作るなど、自分でストレス解消法を見つけて、高血圧にならないよう気をつけましょう。