(国指定重要文化財・工芸品)

 

 

   蓋と身の口縁に錫の置口をめぐらした合口造の手箱。全体に描かれている秋野の情景は、淡い梨地に高蒔絵・研出蒔絵・螺鈿を交えて表現されています。
 意匠は、和漢朗詠集・納涼の源英明の詩「池冷水無三伏夏松高風有一聲秋」から取材され、流水に松、秋の草花と、上空を群れ飛ぶ千鳥を描き、所々に詩の文字を散らしています。これは、歌絵といわれる文学的意匠で、鎌倉時代の蒔絵にあらわれてきます。身の側面には金銅製の千鳥の紐金具を付けています。

所在地 白井沼675 (財)遠山記念館蔵
指定年月日 昭和34年12月18日